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現役車両各形式
2024年6月現在、7形式33両(編成)が活躍しています。内訳はモ161形2両、モ351形4両、モ501形5両、モ601形7両、モ701形11両、1001形3編成、1101形1編成です。
○モ161形(1928年~)
1928年から製造された形式で、当初は電5形という名称でした。合計16両が作られましたが、戦災に伴う車番整理により15両となり、2000年以降は廃車が進んでいます。冷房化改造はなされていないため、営業運転に入るのは冬季が中心となります。
トップナンバーである161号車は2011年に“昭和40年代復刻仕様”として整備され、貸切専用車となりました。ただし、三が日の増発時や特別運転として営業運転に入ることがあります。
○モ351形(1962年~)
1962年から5両が製造され、木造車のモ101形の置き換えを進めました。2013年から順次、行先表示器がLEDに取り替えられました。352号は2016年9月の脱線事故により運用から外れ、復帰することなく2019年7月に廃車となりました。
○モ501形(1957年~)
1957年に5両が製造されました。2013年から順次、行先表示器がLEDに取り替えられました。
○モ601形(1996年~)
1996年から7両が製造されました。この車両の導入により、日中の全車冷房化が達成されました。一部の機器はモ121形から流用されたもので、先に製造されたモ701形よりやや性能が劣り、外観もほぼ同じもののブレーキランプが点灯しないなどの差異があります。2004年から順次、行先表示器がLEDに取り替えられました。また、2010年以降、検査スケジュールなどに合わせてシングルアームパンタになったり、戻されたりしています。
○モ701形(1987年~)
1987年から11両が製造され、阪堺電気軌道として初めての新製車両で、現在では最多の形式です。2004年に行先表示器がLEDに取り替えられたほか、2007年から、乗降口のツーステップ化(当初からツーステップの710・711号車を除く)が行われました。2010年以降、検査スケジュールなどに合わせてシングルアームパンタになったり、戻されたりしています。
○1001形(2013年~)
2013年から3編成が製造され、初の超低床車・連接車です。堺市の支援策の一貫で導入されたこともあり、形式には“堺トラム”の愛称がつけられたほか、各編成にも“茶ちゃ”“紫おん”“青らん”の愛称があります。2013年8月にあびこ道以南で営業運転を始め、2014年3月から天王寺駅前にも乗り入れるようになりました。恵美須町~住吉には入線しません。
○1101形(2020年~)
2020年増備分は1101形に改められました。堺市の費用負担割合が下がったためか、この形式は“堺トラム”の愛称や編成別の愛称名もありません。2020年3月28日から営業運転を開始しました。
多彩な車両カラー
阪堺電車では、ほぼすべての車両が広告をまとっているのも特徴的です。ここ数年では、黄色と青色が鮮やかな岡崎屋質店の広告車が最も多くなっており、阪堺電車と言えばこの色の印象の方も多いのではないでしょうか。▲最多の広告主である「岡崎屋質店」の広告車
広告車は1976年の上町線ワンマン化に先立ち、1975年10月に始まったもので、ワンマン運転対応車を区別する意味がありました。このときに登場したのが雲柄の塗装(以下、雲電車)で、立石電機(現・オムロン)が広告主となり、キャッチフレーズが一文添えられたものでした。雲電車は緑色(モ161形161~168号)、青色(モ161形168~175号、モ301形)、オレンジ色の3色(モ351形・モ501形)となりました。雲電車は当時も好評であったようで、最近でも各色の復刻塗装が度々行われています。
続いて、翌1977年12月からモ205形の一部も広告車両となり、こちらは広告主がタマノ井酢(1994年以降は「タマノイ酢」表記)で、側面に波の柄が描かれたものでした。この広告車はその後モ151形のワンマン対応車や京都からやってきたモ251形にも広がりました。その後、タマノイ酢の広告車は様々なデザインで2007年まで走り続けました。
▲近年でも復刻塗装として走る雲電車
1980年の平野線廃止および阪堺電気軌道(株)の発足で全車ワンマンカーとなり、以後、様々な広告車が登場するようになりました。また、雲電車に関するところでは、その後、広告車ではなかった黄色の雲電車(1986年頃)や、雲柄の上に住信住宅販売の広告が載ったもの(1994年頃)、また広告解除により白色の部分を塗りつぶしてオレンジ1色にしたもの(1982年頃)などがあったようです。広告解除により塗りつぶすタイプは、医療法人錦秀会の解除塗装(2001年9月~2004年9月)が直近の例となっています。広告解除後は、塗りつぶすタイプのほか、緑色に白帯(当サイトでは旧型車標準色と表記)が存在したほか、モ701形登場当初の色(当サイトでは新型車標準色と表記)となる場合もありましたが、いずれも現在はありません。
▲旧型車標準色と新型車標準色